おゆきの日々

 秋田・八幡平の山懐で:                         

折々の日誌 雪国での食事の工夫


 2018.2.12

  降ること降ること、まぁ~よく降ること、あきれる程!
建物も木々も、看板も電柱も、何もかも深々と雪に埋もれてしまっている。
夫は毎日除雪しまくり、休む間がない。それでも更に積もっていく。
でも今年の新潟、北陸福井の方はもっともっと大変なことになっているらしい。
この大雪の影響で物流も大混乱、生活物資が届かず野菜を筆頭に食品などが大打撃。
昨日のニュースではいよいよガソリンや灯油までも品切れ状態か、と報じられていた。
まさに自然の猛威に人はなす術もない、といったここ数日の世の中の様子だ。


[冬の窓辺]
キャベツの芯の水栽培
根も出て脇の新芽も出てきている




 野菜の高騰が続きみんな困っているようだけれど、よく思い返してみれば日本という国は
数十年に1度位はこうした大雪に見舞われてきた歴史があった。そういう国だと思えば油断
せず、日頃からそれに対する備えは心がけておいた方が賢明ではないかと思う。
とは言え、ついいつも暖かく、何でも欲しい時に手に入れられるのが当たり前と思ってしま
う生活に慣れてしまっているとこれが難しい。
だからと言ってこんな時に愚痴や文句ばかり言っていても始まらない。こういう時こそ発想
の転換を図るにはいい機会だと思う。
食材なんて何種類も揃わなくても生きていけるし、こんな天候に見舞われた時にこそ、ホン
の少し昔の生活を思い返してみるだけでもいい。

白菜や大根、キャベツも立派なものでなければ道路沿いの地元農家さんの直販で、いくつか
まとめて安くなっていることがある。新聞紙にきっちり包んで保存しておけば意外と長持ち
するものなので、見つけた時は多めに購入してとっておく。都会でもちょっと郊外へ出れば
今は産直の店が結構増えてスーパーより安く売っていることが多い。
スーパーで白菜四分の一、大根半分などと小分けにして売られているのを見るけれど、あれ
では余分な手間賃が価格に上乗せされ、水分も抜けて美味しくなくなってしまう。

 我が家ではたった2人分の食材でもみんな大きいまま購入している。
よく少人数だと使いきれず余らせてしまうから、ときくけれど、工夫次第で同じ食材でも違う
メニュウにすれば簡単に使い切れるのになあと思う。
ただそれが出来ないのは今の人達は贅沢に慣れてしまっているのか、毎日違った様々な料理を
楽しみたいのかもしれない。あるいは祖母から母へ、母から娘へというような世代による生活
の知恵の伝達がもはや途絶えてしまっているせいではないかとも思える。
また現代は食事をとるという行為自体を軽んじて、多くは人任せにしてしまっている感が強い。
外食や店屋物、スーパーのお惣菜、こういう店の宣伝は熾烈な戦いになっており、安いし安直
だしそれに今風に美味しいし、と人々は魅かれて益々自分で作らなくなっている。
だから家に食材をストックしておくなどという発想が薄れていくのは当然かも知れない。
そんな油断が今回のような天候が続いた時に慌てる結果になってしまったのだろう。

普段のスーパーなどでは日本中、世界中から取り寄せられた季節以外の物まで驚く程の種類、
品数が並べられている。こんな北国でも真冬に南国の果物が並び、キュウリやナス、トマト
などの夏の野菜が並んでいる。いつの間にこんなに豊かになってしまったのだろう?
果たしてこれは豊かと言えることなのだろうか?

 ここでは雪に囲まれてしまえば、青い野菜は本来もう殆ど見られなくなるのが当たり前。
冬の食卓の多くは白か茶系の彩りとなってしまい緑が少なくて少々淋しい気にもなるが、これ
が真冬の食卓なんだと思えば、その中でいかにおいしく滋養あるものにしていくか工夫をして
いくのも冬の楽しみとなる。
普段の食生活では本来のこの季節に手に入る身近な野菜を使うだけなので、真冬にトマトはい
らないし、ブロッコリーもアスパラもサラダ菜も使わない。

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[我が家の常備食材] 
冬の間我が家で必ず切らさず置いてある野菜
主に常温で置いて置けるもの、まずこれだけあれば何かあっても何とかなるという思いで、必
ず置いてあるもの。
大根、白菜、人参、玉ネギ、長ネギ、キャベツ、ジャガイモ、モヤシ、エノキ茸、シメジ
ショウガ、ニンニク

野菜以外
豆腐、油揚げ、厚揚げ、竹輪、さつま揚げ、納豆(冷凍や冷蔵で)
乾燥品・・・車麩、高野豆腐、春雨、海藻類、乾麺(うどん、そば、冷麦、マカロニ)
      寒天、ゼリー粉、小麦粉、米粉(最近は小麦製品も食べてしまっている)
調味料
味噌(自家製)、醤油、塩、胡椒、キビ糖、黒砂糖、みりん、菜種油、白ごま油、茶ごま油、
米酢、削り節、マヨネーズ、ケチャップ
乾燥野菜
菊芋(千切り、薄切り)、ゼンマイ、ワラビ、コゴミ、スベリヒユ
塩漬け
ワラビ、山ウド、ハンゴンソウ、サシドリ、イケマ(山菜類)
漬物
大根ぬか漬け(沢庵)、白菜塩漬け、菊芋味噌漬け、醤油漬けや酢漬けの品、香味料

・以上の基本食材と、その時々ちょっと必要なものを加え、あとは常備菜などを作っておけば、
時に雪に閉じ込められても1~2週間位は慌てずどっしりと安心して構えていられる。
これが昔からの雪国の生活なのではなかったかと思っている。
これも田舎で食材を囲う置き場があるから出来ることだと思うけれど、例えば都会の小さな
家でもなるべく北側に丸のままの白菜やキャベツなど1個ずつでも新聞紙に包んでおいておけ
ば、4人家族位なら数日は大丈夫だ。
最近は北国の広い家の農家の人でも、その時々必要な市販品を調達して食べている人たちも
多いらしい。若い世代は特にその傾向があるようで、昔の生活の知恵が薄れていくのが気に
もなっている。

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 私達2人だけの時の料理は至って簡単、煮物は醤油、みりん、砂糖、出汁で普通だが、炒め
物の味付けは塩だけだったり、味噌だけだったり、焼きそばや焼うどんでも醤油のみだったり、
ということも多く、エ~ッと驚かれるかもしれない。
今はこだわりの香辛料など殆ど使うこともなくなり、基本の醤油や味噌、塩などが美味しけれ
ばこれで充分だと思ってしまっている。
野菜も冬は白菜に大根、人参があれば充分と思う位活用して身体を温めている。

[ある日の献立]
石狩鍋(白菜、人参、ジャガ芋、糸コン、鮭、豆苗)、菊芋のキンピラ自家漬け沢庵
焼ニシンと大根おろしキャベツと豆腐の味噌炒めゴボウのキンピラ白菜塩漬け
煮物(ジャガ芋、人参、こんにゃく、油揚げ、戻し椎茸、えのき茸、車麩、昆布)、蒸し白菜
 のマヨ醤油
菊芋の味噌漬け沢庵
この他日によっては酢漬けや梅の甘煮等々あるものを付け合せる。

 勿論お客様用の時はまた別の話だけれど、普段は沢山の季節外れの物まで使わなくても旬の
物、その時ある物で充分に美味しく楽しく味わうことが出来ると考えている。
また品数も少なく、粗食に徹した方が健康でいられることは断食を通してもう身体が証明して
くれている。
だから数日の吹雪もドンっと来い!と言いたいけれど、これは私ばかりで、こんな日が続けば
夫には除雪に精出して貰わなければならなくなってしまうのが辛いところだ。

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 今夜、市のイベン会場でバンド出演をすることになっている夫は、夕方近くなって午前中に
続いて再び除雪に出ていった。今度はいつもはやらない杉林の方まで。
鹿角市の除雪車は毎日正面の橋のたもとまで来てくれるが、それは夜中の2~3時頃なので、そ
の後も降り続けば朝までにはあっという間に車が通れなくなってしまう。
普段は家から橋までのこちら側は、小舎の悦ちゃ号をフル活動させ自力で除雪をし、大体はそ
れで事足りている。
大雪が降ったら出かけない、と考えていれば簡単でよいのだけれどたまたま出かける時に大雪
に見舞われてしまうと、杉林の方も自力でやらなければならないことがある。
冬の外出はまず除雪から、となるからそれこそ大変だ。それが今日!
でも早朝ではなくてよかった!(数年前花輪からの始発の高速バスに乗り遅れたことがある!)
今日も2度目の除雪をした後フーフー言いながら慌てて支度をして4時頃出ていき、9時過ぎに
は無事に帰宅してくれてホッとした。

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