おゆきの日々

 秋田・八幡平の山懐で:                         

折々の日誌 雪に埋もれた日々の2人


 2018.2.18

今日も良く降っている。毎日4~50㎝は新たに積もっている感じだ。
 


 
少々うんざり気味ではあるが
夫はそれ以上で、そろそろプ
ッツンと切れそうな感じ。
「ピークが過ぎたら町へ下り
た時イチゴのショートケーキ
でも買わない?」と言ったら
嬉しそうに、ちょっと元気を
出して除雪に出て行った。



 我が家で普段ケーキを買うなんていうことは滅多にない。
決して嫌いではなく、頂けば嬉しく美味しく食べるけれど、食事をしっかりとる方なので、
そうするとお菓子を食べる間がなくなってしまう。
また元々私は甘いものに対して関心がうすいようで、普段も2人でなるべく食生活はシンプル
に小食で、と考えているので余計買わなくなっている。
逆に夫は案外甘いもの好きだが、私が買わないのでそれはそれで納得しているようだ。
天気予報をたえず見ながら「また今日もかよ~」と弱音を吐きながら億くうがると「ショート
ケーキももうすぐね」の一言はきく。根が好きだからとっても嬉しそうな顔をするので、何と
も判り易い彼へのご褒美だと思っている。そして私もお相伴に預かれるのが嬉しい。


1昨日天候がたった1日だけ落ち着きそうだったので、
この時っとばかり用事を済ませに町へ下りた。
スーパーでの最後、ケーキ売り場のケースの中を見
つめて「買うとしたらどれにする?イチゴもいいけ
どチョコのもいいな・・・」などとたった1つ買うこ
とになるケーキの品定めをしていた2人。
2人にとってケーキを買うという、いつもと違う行動
自体が妙に楽しく、思わず同時に笑ってしまった。




 我が家の駐車場は野ざらしなので、毎朝出かけなくても必ず車の屋根雪は下ろしておかなけ
ればならない。ここ何日かは屋根雪を下ろすと言う感じではなく、埋まってしまっている車を
掘り出すといった感じである。
新潟、福井辺りの北陸の重い雪とは違ってここのは軽いので助かるが、それでも私が車1台を
掘り出すにはおよそ20分程はかかってしまう。
屋根から落とした雪は窓ガラスを超えてしまうので、それをスノーダンプでどける作業が又1
仕事、かなりの労力がいる。
雪にすっぽり腰まで埋まりながら車の周囲を除雪していく内に、冷えていた身体はもう汗びっ
しょりになってくる。考えたら私にとっては丁度頃合いのいい運動に思えてきた。
最近朝食後室内で15分余の短い時間だけれど、冬の運動不足解消と、足腰がこれ以上衰えない
よう必ず運動を欠かさないようにはしている。
更に除雪の時も無理せず、かつ合理性をも意識しながら身体を動かすように気を付けているお
陰か、意外と疲れず作業後の気分も良好なのでありがたい作業に思えてきた。
夫に比べたら私の除雪手伝いなんてたかが知れているから言えるようなものだけれど。

 それにしてもこんなによく降る降り方は、昭和38年と58年の38、58豪雪と言われたあの頃
とそっくりだ。
トロコにあった旧小舎から現在の地に移った年の翌冬が丁度58(ごうはち)豪雪の時だった。
独身の頃やっていた営業は春~秋まで、冬の間は東京に戻ったり、黒石辺りでアルバイトに精
を出していて、2年目位から年末年始の1週間だけ戻って開けるようになっていた。

結婚してからは今の場所で一年通して過ごすことになり、ここで初めて迎えた冬が豪雪の年と
なり、生活はそれこそ凄いものだった!
その辺のことは少し前々編に記録しておいたが、小舎から橋迄行くと思わず出た言葉が、何と
「橋がない!」。よく見ればいつもの橋は遥か眼下にあり、自分が立っている位置が普段より
ずっと高い所になっていたのである。
橋は前後から冷やされ風が回り余り雪が積もらない。逆にその脇の周辺が地形の関係で吹溜り
となってしまい、想像を超える高さになっていたのだ。
当時は今のように悦ちゃ号のような強力な除雪機もなく、また車は最初から玄関前まで入れる
のは無理だったので上の旧道に置き、そこ迄はずっと歩きだけの道を踏んで確保しておけばい
い状態だった。だから玄関を出てからはヨッコラショっと普段より高い雪原に上がって歩き、
少しずつ上っていた訳である。
状況が呑み込めてからも今度は橋に下りる迄が怖かったけれど、その後は市の除雪車が来て
くれるようになり、我が家にも悦ちゃ号が来て以来、もう2度とあんな凄い積雪を見ることは
無くなってしまった。

 ついつい弱音が出てしまう昨今となってしまったが、今年がどんなに凄いと思ってもあの頃
と比べるとまだまだの状態に思える。
辛いことは確かに多いけれど、学ぶものは勿論多く、また美容の面でもありがたいことが多い。
それは湿気が多いお陰で唇が決して荒れないこと。荒れた時の痛さは辛いものだし、関東の空っ
風で育った私は子供の頃から泣かされてきたので、ここの空気は本当にありがたく思っている。
だから何事も一長一短と思うことにしようと考えている雪に埋もれた日々の2人である。

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