おゆきの日々

  今どきこれって贅沢かもしれない?そんな何気な~い生活の日々、そして常識と非常識の逆転もあり?の日々

折々の日誌 >知らない所へドライヴ


2016.6.7

昨日は久々のドライヴへ出かけた。
その前日、明日は快晴の1日との予報で、ナラバ、となった次第。

朝は早く起きておにぎりのお弁当やお茶を用意。おにぎり2個の中身は自家製梅干とタラコ。
副菜には草刈ついでに庭で採った今が旬の蕗の煮つけ、白かぶの浅漬け、茗荷茸の赤梅酢漬け、そして2人の大好きな玉子焼きを揃えた。
空は予報通り申し分ない抜ける様な青空、雲1つない!気温は11度、朝はちょっとまだ肌寒いが、日中は暖かくなりそうだ。
いつもは前もって大体2人でどこ行く?と何となくの話し合いで決まるのだが、今回は夫が何やら調べていて夜になって「ココへ行ってみよう」ということになってそうした。
聞けば目的の場所は「遠野」、「ヘッ!遠いこと!」しかも遠野の中でも聞いたこともない知らない所だ。ま、いっか、初めての知らない所、小さな角一つ曲がるだけでも楽しい。どんなとこかな?こういうのって私は大好き!

遠野は3.11以前に何回かは行ったことはあったが、その時は泊りがけだった。
ここから日帰りとなると片道4~5時間は見ておかないと。
それで7時半頃には出発した。ここから盛岡方面へ抜けるには八幡平頂上を越えた方が3~40分は近くなる。ホンの1~2週間前までは頂上方面は冬の交通規制がまだかかっていて、夜5時半~翌朝8時半頃までは通れなかったが、今はもう解除されたのでありがたい。

頂上へ着くと盛岡へは最近はよくアスピーテラインを利用することが多かったので、今回は樹海ラインの方を通ろうか、ということになった。この道も久しぶりだったのでワクワクした。


岩手山の雄姿



なんと鳥海山までクッキリと!(肉眼では)写真では中央にウッスラ


藤七温泉付近より 畚岳(もっこだけ)

アスピーテの方はカーブしながら伸びやかに広がる八幡平の山並みが実に気持ちいいけれど、この樹海ラインは、岩手山の山ひだまでがクッキリと目の前にそびえ迫り、そのどでかい山容に圧倒されてしまう見ごたえのあるコースだ。
両側は文字通りの明るい新緑の樹海が延々と続き、どちらのコースも甲乙つけ難い。

盛岡からはR4号ーR396号で遠野へ。小舎からは片道約80+65=145Km位。
着いた所は遠野市街の少し手前、「続石」(つづきいし)駐車場。帰宅後調べてみたらこんな風に。

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続石(綾織町上綾織)-遠野市指定天然記念物

「遠野物語拾遺」十一

「綾織村山口の続石は、この頃学者のいうドルメン(巨石文化)というものによく似ている。二つの並んだ六尺ばかりの台石の上に、幅が一間半、長さ五間もある大石が横に乗 せられ、その下を鳥居のように人が通り抜けていくことができる。武蔵坊弁慶の作ったものであるという。昔弁慶がこの仕事をするために、いったんこの笠石を 持って来て、今の泣石という別の大岩の上に乗せた。そうするとその泣石が、おれは位の高い石であるのに、一生永代他の大石の下になるのは残念だといって、 一夜じゅう泣き明かした。弁慶はそんなら他の石を台にしようと、再びその石に足を掛けて持ち運んで、今の石の上に置いた。それゆえに続石の笠石には、弁慶 の足形の窪みがある。泣石という名もその時からついた。今でも涙のように雫を垂らして、続石の脇に立っている。」

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そこで出発の前に昼食を車の中でとることに。

ふと車外を見ると登り口わき駐車場の隅に小さなトイレがあった。1人の婦人がせっせとお掃除をされている。食事をとり始めた頃家に帰るらしいその婦人と目が会い、どちらからともなく笑顔で会釈しあった。

美味しかった昼食後いざ出発、と支度をして車外に出ると、一旦は私と会釈を交わしながら帰られた筈の先ほどの婦人が、気がつくと今度は草取りをされている。
「お2人で歌でも唄いながら行かれたらいいですよ」との声かけがあり、「ここも熊がでるんですか?」と私。「ええ、そんな声も聞かれますから」とのこと。

近くにはご自由にお使い下さいと数本の杖まで用意されてあり、夫が自分と私用の持ち易いのを選んでくれた。
「では行ってきま~す」「お気をつけて」と出発したが、はなから一気に階段状の登りが始まった。細い山道だが、両側の草もきれいに刈られて良く整備されている。

数メートル行った所で後ろから声があって呼び止められた。振り返ると先ほどの婦人が空のペットボトルを手に持ち振りながら追ってこられる。
水は持ちましたか?とでも言われるのかと思ったら、「熊除けの鈴をお持ちでないようだったので、でも熊も鈴の音には慣れてきてしまっているようで、最近はこんな空のペットボトルをベコベコ押しながらの音の方が聞きなれないのか、効果ありそうですよ」と差し出して下さった。
そこで私はいつも持ち歩いている、危険を知らせる小さな笛を「ピイーーー!」と吹いて見せた。「あヽ、それなら大丈夫ですね」、「えぇ、でも新しい情報助かります。我が家の方もよく熊が出る所なので、本当にありがとうございました」。

心配してわざわざ熊除けのベコベコを手渡たそうと追ってきて下さったのだ。そして改めて「では行ってきま~す」「お気をつけて」の声に送られ木の古い鳥居をくぐり出発したが、この施設は何と素晴らしい婦人に守られているのだろう、と清々しい気分になった。


支えはただ一点のみ、左右は浮いている、絶妙なバランスです!

そこいらじゅうに写真のような大岩がそれぞれ名前がつけられ散らばっており、まさに巨石文化(ドルメン)がかつてこの地に栄えたかのように思えてしまう。
国道沿いからホンの数m登っただけで別世界に入り込んでしまう、不思議な空間だった。

遠野、といえば民話の世界で有名であり、観光スポットとしても第一級の場所だろう。
でも誰もが中心地の方に押し寄せ、その少し手前のこんな場所は殆ど気づかれずに素通りされていきそうだ。滅多に観光客が来ることもないように思える。
現に私達が下りてきた時に、1組のカップルに会えたのがせいぜい。

一気に登りなので、登りに弱い私は汗でグッショリになってしまったが、静かで木々の優しい匂いに囲まれ、心落ち着くこの場所が気に入ってしまった。

私たちは近場をよくドライヴするので、もう殆どの有名どころは行ったかのように思えるが、それでもこうして目こぼれの場を探せば当然だが、まだまだ初回の場所は数え切れない筈だ。
2人とも人知を超えた処にある巨石や巨木に惹かれてしまうので、今回は大当たり、見応え充分だった。
初めての知らない所へ行くのは、いつもながら新鮮なワクワク感があり本当に楽しい!


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