おゆきの日々

 秋田・八幡平の山懐で: 

折々の日誌 >淡々と開所41周年


2016.8.15

先日8月11日、ゆきの小舎は無事開所41周年を迎えた。
この日は今年から「山の日」という祭日になって「山の宿」としてのゆきの小舎としては何だか判らないが、何故か嬉しい気分。

山川越えてきたけれど、全体に振り返ってみれば世の中目まぐるしく変化していく中で小舎は小舎、と淡々と地味~にここまでやってきた。
華々しい話題の中心に翻弄されることもなく、逆に惨めなほど叩かれ姿を消していくようなこともなかった。10年一日のごとく代わり映えしないと言えばしない、一種人々の記憶から薄れていっているのではないかと思うほど波風立たず、穏やかな日々であったように思える。
そんな小舎を好しとして愛し通い続けてくれる仲間たちのお陰で、気がつけばこんな年数が経っていた、という感じ。



学生時代から毎年通い続け、今は大学生のお父さんであるMさんからは、来られる度にどこを触っても「ここも、これもずっと変わらず同じですね」と言われる。
「全く代わり映えしないってことで、すみません」と言うと「これがいいんだなぁ~、いつきてもホッと安心するんですよ」と言われる。よくよく見れば勿論随分色々と変わってきてはいるけれど、感覚的にそんな雰囲気に思えるらしい。

開所の日のメンバーは殆どが常連さん。私達が御大(おんたい)と呼ばせていただいている2~3人と、彼らより少し後からの年代の方たち。
御大のお1人は41年前の小舎の開所日受付№1のOさん。以来彼は結婚したら奥さんと、子供さんが出来たら子供さんと、と通い続けてくれ、今では息子さんが1人でやはり通い続けてくれている。
すでに離れて暮らしている父と子は普段は干渉しあわず、お互いに今何をしているか知らない。そんな彼らだがG・ウィークや夏には小舎でバッタリ、と言うことが多く、その時お互いの元気な姿を確認しあうというなかなか楽しい親子関係だ。

Oさんの次に古いもう一人の御大CさんはOさんの自転車仲間で、彼の奥さんも私のYH時代からの古い旅仲間であり小舎の大切な仲間だ。
そして私と40年近く前、五島列島の福江島で会って以来仲良しになり、その後小舎に通い続けてくれ沢山の仲間を紹介増やしていってくれたM子さん。彼女もOさんの奥さんとは小舎を通じて親友なので様々な形で繋がり、ここでは御大たちが顔を合わせると賑やかこの上ない。

先日休日も終わりそんな4人が一つ車に賑やかに乗って帰っていかれた。
実はりんこうしながら自転車でやってきた御大たちだったが、M子さんが借りてきたレンタカーに目をつけた。久しぶりの運転でちょっと不安げのM子さんに代わり、帰りは盛岡まで運転してあげることで載せていって貰うことにずんずん話を進めてしまった。旅慣れの荷造りもうまい彼らは大きな袋に入れた自転車2台を座席を倒して縦に入れ、その横にまだ2人は座れるよ、と席を作っていた。
そんな状態の車に御大2人(60代後半と半ば)、M子さん(60代半ば)、息子のGちゃん(30代)が乗って出発する様子は、一見どんな関係の人達だろう?と不思議に思える図でもある。

互いに共通の思い出を沢山持ち合っている旅仲間たちには、年齢も性別も全く関係ない!
そんな楽しく素晴らしい人達の繋がりに囲まれてこられた生活、決して楽とは言えない仕事だけれど、つくづく宿屋冥利に尽きるのではないかと心底思えた私たちの立位置を実感した。



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この夏は例年になく暑い日々が続いたが、サラリと湿気がないお陰で爽やかな夏だった。
こんないい夏は今までなかったのではないか、と言う位台風もない晴天続きも珍しく、八幡平を訪れた方たちはどこにいっても素晴らしい自然を満喫されたようだ。

8月も半ばとなって突然に秋風が立ち始め、朝晩の冷え込みが感じられるようになったが、秋の訪れは早いような気もする。そしてお盆を過ぎると季節の移り変わりは一気に進んでいくけれど、また淡々と小舎の生活を元気に楽しんでいけたらと願う。

みなさんも夏のお疲れが出ませんように。


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