おゆきの日々

 秋田・八幡平の山懐で: 


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折々の日誌 今年度の営業終了-2 そしてその前後


2017.11.11

 ー営業終了-1からの続きー

 先日11月7日のお客様をお見送りして今年度の小舎の営業を無事終了した。
今年は「秋の織りん娘会」をもって営業終了となるような日程で、会を開催することにした。
11/4,5,6(土、日、月)の2泊3日、趣味で気のあった女性だけの会のため、その前後は準備などもあるので一般のお客様はとらないことにし ておいた。
けれど当日間際になって突然「アフリカ○ー坊」から3日の宿泊予約の電話が入った。
今回は中学生のお子さんを置いてご夫婦だけの旅行とのこと、何年ぶりだろう?
当然迷うことなく即返事、「ワア~是非どうぞ!」。



 彼はトロコに於いて旧小舎開業の2年目からの仲間、良く来てくれていた。結婚されてからも時々お子さん連れで来てくださったが、一番最近では 4~5年前になるかも知れない。
嬉しく懐かしく大切なよき仲間なので、お断りする理由がない。到着を楽しみに待った。

 そしてその日は更にもう1人、やはり懐かしい女性の仲間が予約されていた。
彼女「Hみちゃん」は新ゆきの小舎開所の年の冬に初めて来られた。新小舎は2人になったので始めの頃は冬も営業することにしていた。
最初の年はまだ現在のように家の前までの除雪などなく、車は志張元湯さんへ行く旧道の途中に止め、そこから急な雪の崖に作った階段を上り下りして 生活を始めていた。
その頃夫は結婚するまでの仕事であった花輪の駅前で喫茶店のマスターを続けており、いつもその崖を上って出勤、帰宅はその崖を下りてきた。
当時、花輪駅に遅く着いた小舎のお客様は、彼の仕事が終るまで店で待っていて貰い、一緒に彼の車に乗って来て貰っていた。

その日も車で夫と一緒に崖の上まで連れてこられた彼女は、車を降りるなりはるか下にポツンと明かりの灯る家を指差した夫に「あそこまでこの雪の階 段を下りてください」と言われた。
「エエ~!ここを~ッ!」もう下りるしかない、意を決して彼女は下り始めた。最初の内こそソロリソロリと雪の上に足を置いていったが、途中からは あっという間に足を取られ真っ白な雪だるまになって到着!。
その体験が楽しかった、とその後も来てくれるようになった彼女もまた変わり者だったということだろう。こんな宿にはぴったりの仲間となってしまっ た。
それから海外協力隊や結婚で海外勤務のご主人とあちこちを回ったりしている内に30年近く経ってしまっていた。その間ご長男を○国で生んで、ご次 男を△国で生んで、と目まぐるしい。
その間も出来る限りずっと便りを交換し合っていたけれど、国を出たり入ったりしている内にいつしかうまく届かないことがあるようになり、ここ数年 連絡がつかないでいた。
私はいつも彼女に会いたいと思い続けていたが、彼女もまた小舎のことを忘れずにいてくれたようで、今回ヒョンなことから連絡がついて殆ど30年ぶ りの再会になった。
彼女は三陸大津波のあとの宮城県に派遣されてきていたようだが、その期限が切れた後、現在はどんな手順だったか忘れたが、昨年の大水害の後の応援 に岩手県岩泉町に来ていた。
岩手と秋田、こんなに近い所に来ているのだから何とか小舎へ、の思いがやっと叶ったと言う。

待ちに待って到着された彼女と思い切り抱き合った!当時より大分むっちりとしながら以外に硬い筋肉で逞しさが倍増していたけれど、雰囲気は可愛 かったあの当時のまま、全く変っていないことに驚いた程で、本当に嬉しかった。
 
初対面同士だという「○ー坊」、その奥さんと「Hみちゃん」は海外の話で気が合い、また人間的な奥深さでも互いに認め合ったような感じで盛り上が りを見せ、楽しい時間を共有されていたようだ。1泊された翌日○ー坊夫妻は出発された。

小舎にはみんなと撮った開所当時からの記念 写真を貼ったアルバムが、本棚にズラッと並べてある。久しぶりに到着された方が部屋に落ち着いてからまず最初にすること、それはアルバムの場所に 向かうこと。そして最初に来た頃の自分がどこに貼られているか探し出す作業を開始する。


これが始まり次々にアルバムが広げられ始めると、周囲のみんなを巻き込んで大いに盛り上がってしまうことが多い。
その日も残って連泊の「Hみちゃん」と朝食後昼近くまで喋り続け、その内アルバムを開いて彼女の写っている写真を見つけた。
懐かしくて色々一緒に見ていると、ある大きな1枚に写っている数人の中に「○ー坊」を発見!
彼の雰囲気は今と変らず、そしてなんとその横には「Hみちゃん」が並んでいるではないか!
今よりずっとほっそりとしているけれど確かに(雰囲気は全く変っていない)愛らしい女の子が!
別れてこの写真を見つけるまでお互いに全く覚えていなかったとは!
もう呆れて、可笑しくて・・・早速交換し合っていたラインとやらで彼女は彼に報告した。
記念写真を撮っているとこんな時にも役に立つし、これもまた何十年も営業を続けてこられたお陰の楽しい話となった。

「今年度の営業終了-3」に続 く。

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