おゆきの日々

 秋田・八幡平の山懐で:

                        

折々の日誌 メープルシロップを作ってみた


 2018.4.4

  
このところ関東・中部辺りでは観測史上初の夏日になっている所もあるようだ。
早かった今年の桜開花もすでに満開を過ぎ、葉桜に向っている所もあるなどのびっくりする
ようなニュースも続いている。
逆に八幡平では4月に入って暖かくなってはきたものの、まだ夜中にマイナス気温になること
もあって真冬並みのストーブは手放せないでいる。
現に今日のこちらは昼頃から雪になり始めて、黒く顔を出していた道路は見る間に白くなった。
すでに10㎝は積もっただろうか?関東では今日もまた夏日だというのに。

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 今日は
メープルシロップを作った体験談を!

 さて先日の3月も末の28日、その日は本当に暖かく朝から春うらら~の日だったので、かね
てからの念願だったカエデの樹液採取(メープルシロップ)を試みることにした。

 つい最近、岩手・岩泉町に住む青年のブログたまたま目に入った。
村の森林業活性化のためカエデ樹を活用しようと奮闘している話に目がいった。
ローラ・インガルス一家物語のローラちゃんの話が大好きで、その中にあったカエデ糖作りの
話がずーっと気になっていたこともある。
小舎の周囲の森や林の中にもカエデは沢山あるので、ここでも出来たらいつかやってみたいと
夢見ていた。
奥入瀬渓流辺りにはカエデの木が多く昔は
樹液の採をしていたことがあったとか、又採
2月頃がいいらしいとか、日頃からカエデの情報を見聞きする度に実際にやれるかどうかも判
らないのにフムフムとメモっていた。

 青年のブログを読むと環境的にはここでも充分出来そうな気がして、急に現実味が増して
きた。そして冬に入って間もなくの頃からその時期が来るのを今か今かと待ちわびてきた。
というのは採
はいつでもいい訳ではなく、適した時期の温度と言うものがあるからである。
できるのは雪解け~葉が出始める寸前までの10日~20日のホンの短い期間らしい。

我が家のカエデの樹液採取実践編
採取場所・・・家の前の川沿いの林、この時期雪の上は潜らずに歩ける 
カエデの種類・・・イタヤカエデ×2本
木周り・・・直径30㎝程の太さの物
適した気温・・・4℃~15℃前後、根から枝葉に樹液を送る動きが最も活発になる時期で、
 わずか10日から20日ほどの現象なのだとか。当日午前10時頃の気温は14℃位だった。

用意したもの・・・穴開け用ドリル(うちでは径10㎜、
 電動はなかったので手動で、万力用にドリルの頭穴
 に棒を結わえ付けて使用
)、チューブ、サランラップ、
 受ける器(今回は2.7ℓ入りのペットボトル
)、紐





 

まずドリルで直径30㎝余の幹に奥行3~4㎝の穴をあける。穴をあけ始めた時点でもう樹液が
 流れ出てきた。
そこにチューブを差し込む。
 穴とチューブにある多少の隙間はラップをまいて調節する。
 あけた穴にチューブをつける専用のジョイントを入れるといいらしいが、うちには生憎なかっ
 たのでチューブにきっちりラップをまいて直接穴に押し込んてみたが、これでも大丈夫だった。
ペットボトルの蓋にチューブに合う穴をあけ、チューブを差し込む。
 その穴とチューブの隙間調節にも同じくラップを巻いた。

 

ずり落ちないようにひもでしっかり縛り付ける。
雨やゴミ除けにスーパーのレジ袋をかけておく。

 
これも飛ばないようにテープや紐で押さえ
 ておく。
 この写真ではすでに5~6㎝位樹液が溜まっ
 ている。






このようにして
2本の木に各1本ずつ、計2本のボトルをくくり付けた。
その後毎日夕方見に行ったが、3日間は全く変化はなかった。
取り付けた翌日から気温が一気に下がってしまったことがその理由らしい。

4日目初採取!

 

初めて回収した1本目にはボトル半分弱、2本目にはボトル半分余が溜まっていたので、丁度1本
分にまとめた。
木も日当たりによって収穫量は変わってくるようだ。やはり日が長く当たっていた木の方が多め
であった。取り付ける木を選ぶ時はそんなことも考慮した方がよさそうだ。
急に溜まっていたのでちょっと驚いてあせった。溢れてしまっていたら勿体ないし。
一気に気温が上がったかららしい。

無色透明だと思っていたけれど、溜まってみると薄い黄色みがかっている。
舐めてみるとウッスラとした甘みがあった。これが純粋のカエデの樹液(メープルウオーター)
である。このままではまだあの美味しいシロップとは言えない。
さあこれからが大変! これを延々と煮詰めて初めてあのシロップが出来上がる。

 

樹液を鍋に移し替え、ストーブにかける。この鍋の中が半分になるまでにも凡そ8時間!
その時の樹液をコップにとって少し飲んでみたら、ウワーッ オ・イ・シ・イィ~!!!
この時点で飲んだら色も少し濃くなって最高のジュースとなっていた。

そして更に2時間ほど煮詰め、トロっと粘りが出る位まで煮詰めたら、ようやくあのメープル
シロップとなった。

エクストラバージンメープルシロップの完成 一番搾りと同じ。



それ程濃い色では無かった物を、注意しながらホンの少し焦がし塩梅にしたら琥珀色になり、
そのキャラメル状の香ばしい香りが部屋中に漂った。

2.7ℓから出来たのはわずか100cc程、けれどこれぞ正真正銘極上のメープルシロップである。
舐めてみてその美味しさに驚いて2人で思わず顔を見合わせた。
最初の薄い液で飲んでみた時は木の匂いなのかちょっと青臭い妙な癖が感じられ、夫はあまり
好みではなかったようだ。けれど完成するとその癖は全く消えていて、嫌みのない上質な甘み
に変わっていたので大いに気に入ったようだ。

時期、時間、回収、濃縮と採から完成までには結構な手間暇がかかる。
それだけに貴重な貴重な1品で、高くなるのも仕方がないと実践してみて納得できた。

1本の木から樹液は気温などの状況により樹液流出が停止する雪解け頃まで、何回か回収する
ことが出来るようだ。
少ない木では仕事としたら採算が合わないけれど、沢山の木に取り付け、容器なども工夫して
団体や企業で取り組めば、ただ眠っている冬場の木から副収入にはいいかもしれない。
それで成功している場所としては埼玉県秩父市があり、取り組みのレベルも相当高いようだ。

始め穴をあけることで木が駄目になるのではないかと心配したけれど、太い幹の物(径30㎝~)
に1本程度の穴なら終わったあと同じ木の枝を穴にきちんと埋めておいてやると、木の回復能力
は優れていて、1年で元通りとなってくれるのだそうだ。
また採取される樹木の栄養分である樹液は、樹木全体の1/10以下らしいので、その後の成長に
影響を及ぼすことは殆どないらしく、そのまま何年かは採取可能なのだそうだ。

更にあるブログにこんなことが・・・「樹液
の利用といえばカナダのメープルシロップが有
名であるが、 ロシアや中国大陸ではシラカ ンバ樹液を健康飲料として利用しており・・・」。

これを読んで、樹液を半分位煮詰めたジュースを飲んだ味を思い出した。
それが実に美味しかったので最後まで煮詰めるのは大変だけれども、あの位までならもっと簡単
に出来るし、ジュースとして作ればいいのではないかと考えた。
我が家の向かいの川辺の林にはカエデ類の木々も多いので、ジュース作り位なら出来るのではな
いか。それが健康飲料になるなんて嬉しいことである。

シロップが取れる木
本場カナダではシュガーメープルというカエデで取るそうだが、日本にはない。
日本にはイタヤ、ウリハ、ウリハダ、ミネ、その他の種類のカエデが多く、糖度の差はあって
も殆ど取れるようだ。中ではここにはイタヤカエデが林の中にも多くあり、癖も少ないようだ。
カエデの他では白樺もよく取れるようで、この白樺シロップは美容デトックスにも大変効果あ
りとか。

ジュースは色々なものに使える
採取したばかりのうす甘い樹液はそのまま飲んだり、紅茶やコーヒーを入れたり、ウイスキー
にたらしたり、味噌汁の汁としたり、ご飯を炊く水としたり、と驚くほど活躍の場が多い。
蜜として煮詰める前の半分位煮た樹液ジュースは日常の飲料として最適。

そして煮詰める作業も、ストーブがある時期が丁度適しているというのがまたいい。上手く出
来ているものだと感心する。
第2回目の回収は晴れてからの楽しみである。

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 今日4月4日は私の生まれ変わりの2回目の誕生日で、満29周年記念日。
いつもドライヴへ出かけるのを楽しみにしているけれど、今日は雪、明日は晴れの予報だった
ので明日に伸ばすことにした。それもまた楽しみ。

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