おゆきの日々

 秋田・八幡平の山懐で:


【折々の日誌】  相性


2018.7.4
 
 今回も1ヶ月ぶりの更新となってしまった。

 さて今日は朝から梅雨らしいいい雨が降っている。気温も低くちょっと寒い位。
昨日までにトマト、キュウリ、インゲンなどの支柱立てや紐との結びつけを終えた。ビニール
の黒ポットに育ててあったパセリやバジル、花の幼い苗の定植も終え、やっと主だった畑仕事
に一区切りを終えた後だった。あとはお日様と適度な雨に順調な生育をお願いするばかり。

 昨日「クロツグミ」という鳥の名前を初めて覚えた。

夜中じゅう「ヒョー ヒョー」と鳴き続けるトラツグミ(ヌエ)
は知っていたけれど、それとは違ってツグミの種類は多いそう
だ。鳥図鑑を開くと本当、いっぱいいるので驚いた。

朝Kuリちゃんが玄関先で「きれいに鳴いているわね」と明る
くて高くきれいな声で盛んに鳴いている鳥のことをさした。
私はこのきれいで大きな声で鳴くのは何という鳥だろう?と
いつも思っていたところだったので、今回「クロツグミ」よ、
と教えて貰い嬉しかった。(写真は他のHPから拝借)

キョロイ、キョロイやキョキョキョという地鳴きの声に続けて必ずケキョケキョと鶯の鳴き方
だったり、大ルリの鳴き方だったり、色々な鳥の鳴き声を真似てさえずる起用で面白い鳥のよ
うだ。そして日本の夏鳥で最も魅力的なさえずりを聴かせる鳥のひとつだという。
この鳥は高い木のてっ辺に止まっていることが多く、声が聞こえたらその近くの木の上を見れ
ば大体そこにいるから判り易い、と教えて貰った。
すると早速声がしたのでそばの木を見上げてみた。いたいた、さっと人の気配を感じたかすぐ
飛び去ってしまったけれど、名前の通り背中は黒かったが胸は白かったので下から見上げると
確かに見つけ易かった。

私には鶯単品?の声に聞こえても、あっこれはクロツグミが真似している声よ、これも、これ
も、とKuリちゃんには元々の鳥の鳴き声とはきちんと区別が出来て聞こえているようなのだ。
よくそんなふうに聞き分けられるものだと感心してしまう。

 彼女はピアノ教師なので音には至って敏感のようだけれど、関心がなければどんなに耳がよ
くても覚えられるものではないように思う。
昔からの山女の彼女は、植物や鳥に豊富な知識を持っていて何でもよく知っている。
鳴き声の真似も実にうまくて、話を聞いていても楽しい。
「ウ~ワオ~」と青バトの鳴き声も彼女に教わって、今では私もうまくなった。(?)

 彼女とは大沼YH時代からの旅仲間なのでそろそろ40年近い付き合いになるだろうか。
3年前にご主人を亡くされ、やっと心の落ち着いた辺りからは年に2~3度は関東から泊りに来
てくれている。
田沢湖からレンタカーを借りてやってくることが多く、八幡平には何回も来ているのでいつ頃
どこでどんな花が咲いているかなどの情報も詳しい。
海外にも一人でしょっちゅう出かけているようだけれど、この小舎を心の故郷みたいに思って
くれているらしくよく来てくれる。到着されると同時にお喋りが始まり、帰るまでそれが続い
ているから、こんな関係は相性が合うというのだろうか?

 考えたら古くから続くよき小舎の仲間や友人たちとは、相性が合う人たちだったからこそこ
こまで続いて来たのだろう。
人や物事にはみな相性がある。理屈では判らない。相性が合えば問題も少なくて済む。
友人も夫婦もしかり。兄弟姉妹でも相性があり、家族だからと言って必ず仲がいいとは限らな
い。悲しいけれど家族間でも犬猿の仲の場合もある。
家族は選べないけれど、友人は相性のいい人を選ぶことが出来るし、そうしたいと思っている。
最近では例え小さな会合へ出席の場合でも、ちょっと合わないなと感じる人がいたら近づかな
い方が無難と考えるようにしている。
この年になるとややこしい人付き合いは労力を使うだけで面倒だからでもある。
やはり人と人との付き合いは明るくさっぱりとしたものでありたい。

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 この時期は山菜のミズが充実してきている。丁度その頃になると山椒の実も緑に膨らんで芳香
を放つようになる。両者がピタリと出合うのは時期的にもほんの一瞬だ。
蕗と山椒、ミズと山椒、山菜を煮た物には山椒の実がよく合うけれどそんな中でもミズと山椒の
出会いは抜群の相性だと思ってしまう。

この地方のお年寄りたちが好むミズの食べ方「ミズタタキ」の作り方
・ミズをよく洗い、根の赤い部分の茎を切らないまま、まな板の上ですりこぎ棒でよくたたく。
・平均につぶれたら包丁で細かく切ってすり鉢にいれる。
・そこに味噌と生の山椒の実を加えよくすり合わせる。
・ミズの根はトロっとしたぬらめきがあるが、それを更に細かくすってトロトロになれば完成!
(山椒の代わりにニンニクをすり入れる人もいるけれど、いかにニンニク好きの私でも、これば
かりは山椒にまさるものはなし!と思っている)

味噌のうま味と山椒のピリリとした心地よい刺激、爽やかな香り、梅雨時には絶品の食べ方。
素朴でまさに山家の味なのだが、最近は面倒だし、色合いも暗いしお洒落的にもどうもと若い人
たちは殆ど作らなくなってしまった。すり鉢なんてない家も今では多いらしい。でもこんな味こ
そ大切に残したい1品だと思っている。

この他私がお客様によくお出しするミズ料理


さっと茹でてきれいな緑色になったら
水で色止めする。
あらかじめ山椒の実は茹でて水に晒し
好みに辛みを抜いておく。
ミズと塩こぶ、山椒の実を入れ混ぜ合
わせて出来上がり。
これは色も味も爽やかでシャキシャキ
とした歯触り、好評な1品である。


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