おゆきの日々

 秋田・八幡平の山懐で:


 

【折々の日誌】月刊誌「現代農業」9月号に記事掲載される


2018.8.30

 里の田んぼでは稲がこうべを垂れ始め、鮮やかだった緑の田園風景はいつの間にか黄緑色に
変わっている。
夜には涼やかな虫の音が、木々の緑も赤や黄に染まり始めた八幡平はすでに秋が始まっている。
これまで目を楽しませてくれていた華やかな夏の花はもう殆ど終わり、目について残っている
のはトリカブトや最近の野山を埋め尽くすような勢いで増えているハンゴンソウ等々。
野菊の仲間の秋の花が次々と咲き始め、木々の花も終わった後はそれぞれが結実し、赤い実に
姿を変え始めているものが多い。

 つい先日雪が解けたと思ったばかりなのに、急に秋を迎える今時になるとつい、もうすぐの
雪の季節のことが気になってしまうこの頃でもある。




  さて農に少しでも関わる人なら程んど知っていると思う
 けれど、「現代農業」という小型の月刊雑誌がある。
 一般の人が読んでも結構面白い内容満載の本だ。

  保存食の作り方とか、野菜や果実の栽培法とか、時には
 羊や野生の動物を自分で解体してみる、などというびっく
 りするような内容の時もある。




 店にカットされて並ぶ肉類は、普段何気なく買って何気なく食べているけれど、本来動物の
命を頂くことである。
命を頂くということは一体どういうことなのか、体験してみなければ解らない。そんな思いか
ら出された企画だとは想像できるけれど、やっぱりえぇっ!って一瞬引いて、でもこれは凄い
なあとさえ思ってしまう内容だ。

そんな内容が多岐にわたっている中で、なんと私の記事が8月発売だった9月号に掲載された!

     

 数年前、たまたま「ナスジャムの作り方」という特集が載っていたこの雑誌を見つけた。
ナスでジャムが?・・・と興味を惹かれて読みだしたのがそもそもの事の発端。
時は8月のナスの出盛りの頃、安くて沢山あるのでこれはいける、面白そう、と本の記事を参考
に早速実践に及んだ。
途中で記事には書いていなかったけれど、ナスから出るアク汁のことが気になって、自分流に
ナスに塩をふり置きアク汁を除いてから作ってみた。仕上がったジャムはとても色がきれいで味
も上々であった。
珍しいジャムなのでこのことをここ自分のHPに載せてみた

 その後何年か過ぎて今年の春頃になってから、かの雑誌社から問い合わせの電話を貰った。
ナスジャムの記事の反響は良かったのだけれど、作ってみた多くの人から色がきれいにならない、
という声が寄せられたのだという。
社の方が色々原因を探していく内に私のHPに載せた写真と記事に行き当たったのだそうだ。
記事と違う所と言えるのは、ナスのアク汁を除いてから作った箇所だけだった。
多分そのことではないかと伝えると、その記事を改めてまとめて雑誌に載せさせてくれないか、
と言うこととなった。
紙面の関係で多少カット部分はあったけれど、大体写真も記事も私が書いたものがそのまま掲載
されることになった。そして発売に先駆けてその9月号が送られてきた。

 自分が書いたというよりレイアウトした画面がそのまま雑誌に掲載されたのは初めてだったの
で、不思議な気持ちであったし、また嬉しかった。
そして私の記事と前後して、元々のナスジャムを発表した婦人会の方達のその後の取り組みも書
かれていた。

それによると婦人会では、色のことを皮はむかずに一緒に煮ながら丁寧にアクをすくう作業をく
り返すということでクリア―していかれたようだ。
婦人会ではこのジャムを道の駅や物産館などで販売する目的があるようなので、大量のナスの皮
をむく作業が大変だと言うことは良く解る。煮て柔らかくなってしまえば皮は気にならなくなる
そうで、そこに目を向けられたようだった。

皮はむかなくてもよし、と言う箇所は気に入ってこれもありか、と思ったけれど、私的にはアク
取りを暑い鍋の前で取り続けるのは少々汗かきの私としては気になるところ。
そこで個人が作る少量のものなら刻んだ時点で塩をし、その後絞ってアク汁を除いた方が簡単で
やり易いのではないかと考えた。そして皮のことはその時々やり易いようにすればいいのではな
いかと思った。

 まさか今回のように思いがけない人たちにまで読まれることがあるだなんて、と大袈裟だけれ
どちょっと身が引き締まった。
いつも書きたいことを書いてたった一人でも解ってくれる人がいたら嬉しい、と読者数の少ない
のを承知でのんきに書いてきたけれど、やっぱり何かを発信している訳だからそれなりに責任も
持たないと、と考えさせられてしまった。


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