おゆきの日々

 秋田・八幡平の山懐で:


折々の日誌】 岳ちゃんパパからの最期の贈り物 


2018.10.24

  今、お日様が紅葉を輝かせてくれているけれど、南の空に真っ黒で大きな雲が現れて、間も
なく天気予報通り雨になりそうな気配である。
ここ数日良い天気が続いて畑や庭の整理片付けをし始めている。北国の秋は時間刻みであっと
いう間に雪を見ることになってしまうので、晴天の日を無駄には出来ないからである。
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 【岡野さんを偲んで】
 さてこの夏、すでにご存じの方も多いと思うけれど、43年前のゆきの小舎開所の日の受付
NO,1だった岡野さんが亡くなった。
43年の間殆どずっと来続けて下さった、小舎にとってはかけがえのない大切でありがたいお
客様である。
その後年月は流れ、今ではその息子さんの岳ちゃんがもう小舎にとってなくてはならない人に
なって、親子2代に渡りお世話になっているご一家である。

 岡野さんは、子供さんが大きくなってからは中年チャリンコ団として他の仲間たちともよく
小舎に来て下さっていた。
春のゴールデンウィーク、夏の小舎開所記念日の御大グループとして、他の仲間達にとっても
特別な存在感をいつも放って下さっていた。
その中年チャリンコ団の中でも一番の年長なのに、年齢を全く感じさせない一番元気な方だっ
た。その方が最も早くアッと言う間に亡くなってしまうなんて、私たちにはショックだった。
いつも一緒に走っていた仲間たちにとっても同様だろう。

 岡野さんは物凄いIQの高い方で、最も難しいとされているような「知恵の輪」でも簡単に解
いてしまう。陸上で走らせればその速さで高校時代は伝説のランナーだったようだ。(これは
たまたま小舎で会った方と偶然同じ高校だった方から聞かされた)
独身の頃はよくお土産にご自分で焼いたパウンドケーキを持ってきて下さったり、仲間を食事
に招くこともあったようで、料理の腕前も確かなよう。

それなのにまるで自慢めいたことの一つもない方で、話し方はゆっくり、いつもにこにこ本当
に穏やかな方だったけれど、思いがけないお茶目なところもあった。
自転車にくくり付けられている水筒にはよく手作りの梅酒が入れられていて、命の水と言って
いらした。今だから言えるけれど。

 
 またある夏、蒔いた記憶のない「ヒマワリ」の苗が
  育っているのを見つけた。みんなの前で その話を
  すると岡野さんがニヤニヤしている。
 「えっもしかして岡野さんが蒔いたの?」
 ゴールデンウィークの帰り際、持ってきた種を畑
 にパラパラッと蒔いて行ったのだという。
 花泥棒とは聞いたことがあるけれど、種蒔き泥棒
 と言うのだろうか?
 その夏は見事に巨大な「ヒマワリ」が小舎を訪れ
 て下さる方たちの目を楽しませてくれた。



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 つい先日岳ちゃんとお母さんが、岡野さんがどうしても小舎に置いて貰いたいと言われた物
を運んできて下さった。
それは岡野さんが手作りされた木製イス・テーブルがくっついたアイディア溢れる作品だった。
小舎の開所記念日にご自分で持ってきたいと思っていらしたそうだ。それは叶わず記念日の日
はベッドの上で仲間たちに囲まれて過ごされ、その3日後に亡くなった。

大きな物なので邪魔で置いて貰えないかもしれないけれど、と言われたけれど私達としては
嬉しくて大歓迎。

        
早速組み立てて貰い、外玄関上のベンチのあった場所はどうかと置いてみたらバッチリはまっ
てしまった。その隣に郵便受け箱がピッタリと収まり、まるで測ってくれていたみたいだった。
本来はイスとテーブルとして外に置いた方がよい物だが、今はもう外じまいの季節なのでそこに
まずは置いておくことにした。

これがちょちょっと動かすとイスと
テーブルに早変わり、凄い!

ひじ掛け部分の飾り板を忘れてきて
しまった、と言うところがまずはご
愛敬、今度の正月に来られる時持って
きて下さることになったので、その
完成の姿をどうぞお楽しみに!



 2泊目の夕食後、岳ちゃんがピアノを弾いてくれ4人で青春の歌を歌いまくった。

温か~い雰囲気、こんなふうに過ごせる
母子ってすばらしい!

お歳よりずっと若々しいお母さんの博美
さんも、昔YHで旅をされていた方なので、
YHで歌われた歌は私と同じ位詳しい。
博美さんとは久しぶりの再会だったので
懐かしい若き日の旅談議に花が咲いた。


岳ちゃんも若いのに似ず、桃岩のYHで鍛えられているので昔の人間みたいに何でもござれだ。

岡野さんの写真をそばに置きながら、お
二人と楽しい時を過ごし、いいご供養を
させていただけた。

右の額の写真は小舎のアルバムから。
愛らしい岳ちゃん兄弟、若々しかったご
夫妻のご家族の姿を伸ばし、プレゼント
させていただいた。


 
最後に大切にお持ち下さった岡野さんのお骨をロコのお墓に分骨。
いつも小舎と共にあって下さったことに深い感謝を覚える。
これからも岡野さんはずっと小舎と共にあり!

今度の最期の手作り作品をいただいたことも嬉しかったけれど、
岳ちゃんというとびきり素晴らしい息子さんを残していって下
さったことも何より嬉しく思っている私達である。

                                                                   
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