おゆきの日々

 秋田・八幡平の山懐で: 

折々の日誌 ミシンがけを楽しむ


2017.3.29    

 春近し  マイゲレンデのてっぺんより



  晴れると2人でバス停までの
雪道散歩へ。
ホンの少しの距離でも、季節
の移ろいを見ながらの行き返
りの道中は楽しみでもある。
斜面ではとっくに無数の根開
きが始まって、杉林の道の両
側は積雪もかなり沈んだけれど、それでもまだ1m近くは
ありそうに見える。



 栃の木の梢の先端には、ぬめぬめと赤みを帯びた蕾が大きく膨らんで、黒文字の緑色した細い枝の
先には、新芽が黄色くとんがって伸び始めている。
黒文字の新芽が開くと柔らかな緑の若葉がとてもきれいなので、幾本かとってきてバケツの水に挿し
て置いた。室内で先駆けて開くのを見るのが毎年の今頃の楽しみでもある。
これからの散歩の道中は、次々に若葉や花がきれいに開く枝を蕾の内にとってきては、同様にして楽
しんでいる。
ちなみにクロモジはお菓子を食べる時の良質の楊枝の材料として使われたり、葉や茎を乾燥させてお茶にしたりもする。
枝を折って鼻を近づけてみると、香油の何ともいえない芳しい匂いがする素晴らしい木でもある。


橋を渡るいくお

 先日は気持ちよく散歩から帰った直後、急に風が強まり見る見る雪が横殴りに吹き付けてきた。
丁度いい時に帰って来たようで、こんな突然の天候の変化も今時らしい。

 ♥ ♥ ♥ ♥ ♥ ♥  ♥  ♥ ♥ ♥

 さて今年の私の冬休み中は、晴れる日も多くなったけれど、また急に雪になったりもする2月を過ぎ
た辺りから、ミシン作業を主に楽しんでいた。こういう長い完全な休みの時期でないとなかなかミシンを出しっぱなしにしておくことは出来ないからでもある。
袋物を二つ、三つと薄手のオーバーブラウスを二枚ほど縫い上げた。

 このブルーの生地は45年以上も前に旅仲間からもらった物で、彼女の手描きの染付け化繊ジョーゼット。
試し用の染め生地なので長さがあまりない。質感と色が好きな生地だったので何とか生かしたいと思い続けてこんなに年月が経ってしまったけれど、やっとやっと、長袖のTシャツの上などに羽織ろうと考えて作ってみた。



    

右の袖なし、襟付きの素材は綿、何年か前長袖のオーバーブラウスで衿なしに作ったものを今回袖を
はずし、衿をつけてみた。肌寒い夏にTシャツと組み合わせると丁度いいかなと思っている。
どうしてもデザインは腰を隠す長さの物が多くなってしまい、我ながら可笑しいけれど仕方がないか。
 
 最近は新しい服を買うことが殆んどなくなってきた。簡単なうす物であれば自分で縫ってしまうこ
との方が多い。
洋裁は学校に通った訳でもなく、婦人雑誌の付録や説明本などを読み読み失敗を繰り返しながら自己
流でやってきたもの。あんまり上手ではないけれど平面だけで進んでいく編み物より、立体的に進め
なくてはならない洋裁の方が面白い。

まず生地を選び、デザインし、型紙を起こす。裁断、仮縫い、本縫いとやることがいっぱいあるし、
何より変化があってその行程が楽しい。
いい型紙を作ることが基本だけれど、私にとっては型紙起こしはいつまでたっても一番難しい行程
で、これさえいい物が出来ればあとはしめたもの、という感じだ。
せっかく気に入った型紙が出来て取っておいても、何年ぶりかでそれを使おうとする時、体型がわず
かずつ変ってしまっているのに気付くと、また少し直さなければならなくなる。
だからいつもやっている訳ではないので、洋裁をやろうとたまに広げる時はその都度最初は型紙から、
になってしまう。面倒くさくて大変な作業だけれど、私はこの部分は結構好きかもしれない。

 編み物もやりたくて挑戦はしてみるのだけれど、その都度なんやかやと理屈をつけては手が止まり、
そのままになってしまっている物も多く、完成にまでこぎつけた物が少なくて情けない。
きっと人には向き不向きがあるのだろうな、洋裁は下手の横好きで、やっていて楽しい。

 娘時代は母や妹の服もよく縫って、特に妹とはお揃いの服をよく縫ってあげた。
その中での超大作と言えば、妹の結婚披露宴の時のドレスだった。
よくも恐れ気もなく簡単に私が縫ってあげるなんて言ってしまった
ものだと、今考えても冷や汗ものだ。
そして失敗は許されない生地に、よくも思い切りよくハサミを入れ
られたものだ!と今更ながらに無茶だった自分にあきれてしまう。
でもなんとか縫い上げてしまった。
完全に素人の手作り作品なのに「お姉ちゃんが縫ってくれた嬉しい記念だ」と殊の外気に入って喜んで着てくれたので心からホッとした。
 妹のお相手は私と共通の旅仲間の1人だった。列席された妹の旅仲間、学校その他の友人達の全員を私は知っていたという仲間感覚で和気藹々、気のおけない親しみのこもった結婚式だった。ブーケは妹の友人の手作りで、多分そんなお陰でドレスも何とか好意を持って見て貰えたのかなと思っている。

こんなこともあってそれ以来服作りは自分の物だけにとどめるようになったけれど、冬休みの間が私
にとってゆっくりミシンがけを楽しめる時間になっている。
そう言いながら、ミシンと同じように手織りも早くやりたくてたまらない私、どうしても主流がミシンか手織りか、その年によって分かれることになってしまう冬休みではある。

 いよいよ春の小舎開けが近づいてきた。そろそろ日中の気温も大分暖かくなってきたので、真冬は寒くていやだった身体を動かすことが、そう億劫ではなくなってきた。
長かった冬休みどっぷりだった頭も身体も、これからは小舎開け準備に向けなければと思っている。


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