おゆきの日々

 今どきこれって贅沢かもしれない?そんな何気な~い生活の日々、 そして常識と非常識の逆転もあり?の日々

昔の八幡平・YH >ゆきの小舎ー3


2011/01/19 Wed 17:42

・その6 ゆきの小舎ー3
年末に全く雪の無い年がありました。 国道沿いに設置の看板の足元もアスファルト丸出し。
一筋の雪もなく、こんな年もまた前代未聞の事でした。

年が明け徐々に雪は振り出しましたが、積雪より冷え込みの方がこたえました。
何しろ自他共に認めるバラックおんボロ小屋、ストーブをいくらガンガン焚いても一つも部屋は暖まりません。
おまけに雪が無いため建物の土台が丸出し、風が吹くと土台の通気孔からもろに入り込み、隙間だらけの板張りの床に直接敷いただけの花ござを、ブワ~ッと持ち上げる事がありました。

それでも超満員の正月は不便さ寒さも気にならず、そんな事一つでも可笑しくて笑い転げ、みんな朝方近くまで飲んで騒いでいたものです。
どうせ部屋に行っても寝床も無さそうだし(何しろ大詰め込みでしたから)、とストーブの脇で新聞紙にくるまって寝た人もあったとか、数年後に聞かされましたが、あの時は「寒かった~」と思い出して大笑いしていました。(空いている布団はちゃんとあったのに)・・・?。

ある年、正月1週間は大した雪もなく過ぎてホッとしましたが、みんなが帰った辺りから急にザンザンと降り出してきました。
これまでも年末年始は少なくて、正月明けから大雪になるというパターンは何度かありました。
その年は冬期営業を終えてから、D君に残って片付けを手伝って貰っていました。
営業の片付け、整理をし終え、いよいよ春まで小舎を閉めて出発、という迄の1週間の雪の降り方は尋常ではありませんでした。

その日は朝から想像以上の凄い雪だったので、通常は国道まで7~8分のところ今日は余裕をもって30分前に出ようと決めていました。
それぞれ背中にリュック、出来る限り両手に大きな手荷物を持って玄関の引き戸を思い切りの力で開けると、大雪がグッと肩の辺りまで迫ってきました。
鍵を閉める事も出来ない状態でしたが、泥棒の心配もなかろうとそのまま雪の中身体を踏み入れました。

が、しかしです、フワッフワの新雪に足をとられ全く進めません!
重い背の荷物、手に持つ荷物のバランスを崩すと片方にスウ~と倒れ、倒れると手を付いて起き上がる事がもうできません。付いた手がどこまでももぐって力が入らず、もがき回ってやっと立ち上がる始末。途中から思いついて立って歩く事を諦め、膝でいざって歩く事にしてみました。
これが正解、着地面積が多くなり結構進むようになりました。

前を行くD君がワッシワッシと荷物ごと両手で力いっぱいラッセルして進んでくれる姿がとてつもなく心強く思えたものです。私より細い位の彼なのに、男性の力はやっぱり凄い!と感嘆!
彼の後をついて歩くお陰で後半は歩き方にも大分慣れ、上手く前進できるようになりました。

そうしてやっとの思いで国道が見える所まで行き着くと、目の先を、乗る筈のバスがスーっと通り過ぎて行くのが見えました。アレー~!!!40分以上も掛かっていたのです。

今年の年末も久々に凄かったのですが、あんな大雪の中でのスリリングな体験は、あれ以来もうなくてちょっと淋しい?。

〔ゆきの小舎ー4〕につづく

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